真白きだけの花火よ霞草

三十路で始めるロックンロール。いまだ売れていない天才(自称)バンドマンが語る音楽、文学、哲学、詩、料理、日々、あるいは旅。

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何度か悪い夢を見た。眠りがどうやら浅かったようだ。

それでも目を覚まし、コーヒーを飲み、生活、いまやルーティンと化しつつある(といっても、よく考えるとまだこの家に引っ越して二週間なのだ! これは自分にとって自信につながる)早起きを楽しみつつ、花器の水を換え、盆栽に水をやり、書き物を済ませると仕事へ。

きびきびと働いたあとは、久しぶりのバンド練習。3月27日、自身のバースデー・パーティーに向けて。

 

帰宅して、今度は近くのコインランドリーに行き、洗濯をしている間に晩飯の買い出しをし、戻って今度は乾燥機に洗濯物を入れ、その待ち時間で久しぶりにユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史 下』を読んだ。

 


サピエンス全史(上) 文明の構造と人類の幸福 サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福

 

 


サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

 

どうも俺には昔から、何冊か同時並行で本を読むという悪癖があって(確か小林秀雄もそんなことを言っていた)、プロティノスだのシュタイナーだのコリン・ウィルソンだの、まあワケの分からない本ばかり乏しい脳みそをフル回転させて、ちんぷんかんぷんを楽しみつつ読んでいるワケで、そんな浮気性の俺が言っても説得力はあまりないのかもしれないが、この本は本当にあまねくすべての人に読んでもらいたい本である。

ちゅーて、ちょっと読書好きな人からすれば、こんなベストセラーをとっつかまえてなにを今更、なのかもしれないけれど、マジでメカラウロコ(byTHE YELLOW MONKEY)、例えば今俺が読んでいるのは、第16章「拡大するパイという資本主義のマジック」というところなのだが、経済についておそらく小学生レベルの知識しか持ち合わせていない俺にとって、これほどまでに分かりやすい資本主義の説明はないのである。

 

だが経済の近代史を知るためには、本当はたった一語を理解すれば済む。その一語とはすなわち、「成長」だ。

 

 

というツカミから始まるこの章では、おそろしく分かりやすい例えを用いて、近代の経済システムが説明されている。

そのおそろしく分かりやすい例えを、さらにかいつまんで話すとこうだ。

 

建設会社を興して成功させたA氏は銀行のB氏に100万ドルを預ける。ちょうどそのころ、C氏は新しくパン屋を立ち上げようとしていたが、その資金がない。

C氏は銀行のB氏に頼み、無事に100万ドルを融資してもらう。

C氏はその100万ドルの小切手を使って、パン屋の内装工事をA氏に依頼する。

A氏はその100万ドルを、B氏の銀行に入金する。

A氏の口座には200万ドルが預金されている。

しかし、銀行の金庫に実際に入っている金額は100万ドルである。

 

 

ね? すごいでしょ? ってみんな知ってるか。

 

近代以前の経済では、生産は利益にそのまま直結していたんだけど、アダム・スミスは『国富論』で、生産によって生じた利益を使って再び投資することで新たな雇用が生じ、それが再び生産と利益を生む。という、経済のコペルニクス的転回を起こしたんだそうな。

これにより、限られたパイ(資源、とでも言えばいいのかな)を奪い合う世界から、パイを増やすことに対して信用(クレジット)し、投資することができる世界になったらしい。

ということは、俺が誰からの投資も受けられないのは、俺になんの生産性も見出せないからで、なんだかそれって日本のおえらいさんみたいでシャクだなあ、生産性だけがすべてじゃあるまい。なんて言ったところで、そうかこれこそ資本主義、ここは日本。と、俺はがっくりとうなだれるのであった。

って、まあ『サピエンス全史』については読み終えてからあれこれ書くとして、話を元に戻すと、洗濯を終えると自宅に帰った俺は、小麦粉と葱とちくわで洋食焼きを作り、久しぶりに息抜きでちびちび酒をやっていたが、ちょうど酒も切れたのでそれ以上は飲まず、酔い醒ましにシャワーを浴び、ゆっくりと訪れる眠気にしめしめと思いながら今この文章をタイプしているのである。

 

つまり、金を稼ぐには投資をする必要があるわけで、と、こんなことを書くと、あれ? お金欲しいの? と言われるかもしれないがむちゃくちゃ金が欲しくて、なぜならば金さえあれば働かずに本を読んで暮らせるわけで、しかし『サピエンス全史』には、それは資本ではなくて富であり、きわめて中世の貴族的な考えであって、というか、じゃあ働かずに一生借金して本を読んでなにもせずに死ねばいい、と言われるとそういうわけでもなく、それならなんのために本を読んでいるのかというと、自分の心の在り方を確認したいからで、自分の心の在り方を確認してなにがしたいかと言うと、俺はやはり文字を書き、歌を唄いたい。それが誰かの利益になった時、俺はようやくこの資本の円環の中に入っていけるわけであって、それならばその目標からまっすぐブレずに生きるべきだ。

誰の言うことも聞かず。

毎朝読むナポレオン・ヒル『思考は現実化する』にはこう書いてあった。

 

曰く、「(他人の)意見とはこの地上で最も安い商品である」。

 


思考は現実化する_アクション・マニュアルつき