真白きだけの花火よ霞草

三十路で始めるロックンロール。いまだ売れていない天才(自称)バンドマンが語る音楽、文学、哲学、詩、料理、日々、あるいは旅。

日々に胡坐をかきながら寺田屋に行ってきた

一体俺の心がどういうつもりなのか分からんが、これだけ毎日トピックがあるにも関わらずキーボードを打つ手は全く進まず、と書くと待ってましたと言わんばかりに、まあようするにせっかく作ったブログもすでに飽きてサボっているのでしょう、と叱咤を浴びせたがる人がいるかもしれんが、しかしそんな人は俺が毎日どういう面持ちでパソコンの前に、開かれたはてなブログの前に、炬燵に足を入れながら鎮座ましましているのかを見てみるがいい。

鎮座ましましている、とはなんとも大仰な言葉だと思われるかもしれないが、これは2004年7月9日発売成人向け美少女ゲーム*1老舗メーカーlightの隠れた名作『Dear My Friend』*2に登場する黒崎小麦、というキャラがバレンタインデー・イベントに於いて発した言葉であって、俺はこの黒崎小麦ルートだけでおそらく300周以上やりこんだ日本一の黒崎小麦マニアであり、彼女と主人公恭一の台詞のやりとりは全て記憶、今でも目を閉じれば彼女の怒り顔と共にたちまちあのキンキンした金田まひるボイスが脳内再生可能であり(この後彼女はきゃんでぃそふとが発売した大ヒット作『つよきす』の蟹沢きぬ役で確固たる地位を確立することになる)、これは余談だが当時一世を風靡したサブカル美少女アニメ『ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて』の小麦と共に、二大小麦として彼女たちを呼称、愛玩していたこともある。

 


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つまり鎮座ましましている、という言葉は青春時代が鬱屈しているがゆえに俺が獲得した、俺という固有の存在に根差した言葉であり、ある意味で俺語と言って差し支えないタームなのである。

 

、、、などと大上段に構えて、あまつさえ先ほど自分を日本一の黒崎小麦マニアと称したが、今回の記事を書くにあたって彼女の画像でも手に入れようかとGoogleで検索していたところ、Yahoo! のゲームトピックにて彼女について質問されている記事を発見。

 

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どうしてそんなことが気になったのかよく分からないが恐ろしく高度な質問内容もさることながら、2019年にも関わらずあっさり該当箇所を見つけ出してくる回答者のレベルにも脱帽、いや自分なぞはまったくマニア失格なのだとうなだれているうちに、あれ? でも結構記事書けてるやん。そうそう、滑り出してきたでえ、俺の文章が。運動性を持ち始めた、などとまたもや頭の中で蘊蓄野郎がぺちゃくちゃ喋くるのを無視しながら、俺が書きたくて書けなくて難儀しているのはこないだ京都でライブを演ったことである。

 

 

遅々として進まぬプロティノス『エネアデス』を読みながらうとうと、神戸から電車を乗り継ぎたどり着いたのは二条。

「茶ぁ、行こや」と連絡をくれていたので、リハ前に、かつてのバンドメンバーで、今やすっかり売れっ子バンドのギタリストとして活躍する鰊と会ってコメダ珈琲で茶をしばくことにする。

「俺は甘いものはもうやめたのだよ」などと嘯いていた鰊はコメダに入るなりたちまちモンブラン・セットを注文、そのことを茶化したり、ついでに互い近況などを報告し合い、ワタクシ今日は泊めてもらう気できたからそのつもりで、と彼に告げると俺は一足先にコメダを離脱、リハーサルを終えて、あっという間に本番。

 

出番が終わると、鰊、それから遊びに来てくれていた、かつてしのぎを削り合ったバンド仲間のDと談笑、三人連れ立ってモスバーガーで飯を喰い、トリを務める、これもまたしのぎを削り合ったバンド仲間のSが現在率いるバンドのライブを観ながら、俺は狂ったように酒を飲み続け、ある不思議な感慨に耽っていた。

 

かつて、この街に住んでいた、ある男が俺たちを繋げたのだ。

そして今また俺たちはここにいる。

 

公演が終わると、酔った俺は鰊と共にDの車に乗せてもらい、近くにある温泉に立ち寄り、そこでじっくり酒を抜いてから鰊の家まで送ってもらった。

 

それから、鰊と朝まで話した。

ワインボトルを二本。ちゅうことは一人一本ボトルを空けた計算である。

ベロベロだった。

酔ったヤツは、やはりいつも通り俺に説教を始めた。

「いい加減にちゃんと生きるんや。もう俺たちしか残ってへんねんから。俺はな、もっと春壱に頑張って欲しいんや」

俺がこれもまたいつも通りのヘラヘラ笑いとハッタリで鰊をいなすと、

「変わらんなあ。変わらんといてな」と真っ赤な顔をしながら、先ほどとは矛盾したことを言ってにやりと笑うのだった。

 

 

朝、目を覚ますと、「飲み過ぎた」とだけ言って鰊は再びベッドに突っ伏した。

 

 

せっかく京都に来たのだからと、翌日、坂本龍馬の大ファンでもある俺は「寺田屋」まで行ってきた。

 

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傷がうずくぜよ

 

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テンション上がるぜよ

 

 額の奥にある松果体の部分、いわゆるサード・アイが熱を持ち始めている。

もう少しで、なにか、なにか。大事なことを思い出せそうぜよ、、、

 

などと書いていると、「またアイツは宗教にハマった」だの「酒の飲み過ぎで脳がやられた」だの「変わり者を演じようとしている」などと言われるのでこれくらいにしておくが、この「寺田屋」は、幕末ファンならば必ずその名前を知っている場所で(なんせ薩摩藩士襲撃事件と龍馬襲撃という二つの大事件がここで起こっている)、俺は感動、そして最高、テンションマックスマーラーで内部に突入、受付の女性に(お気づきですか? ワタクシが坂本龍馬ですよ)というテレパシーを送って微笑みかけ、400円を払って中に入った。

 

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内部は写真撮影可能です

 

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ただいま帰ったきに! お登勢さん!

 

いやホンマに大満足。大満足ザムライですよ。

お龍が龍馬を呼びに上がった階段があったり、刀傷の跡がまだ残っていたり。

幕末ファンならば、ぜひ一度訪れてほしいですね。

 

寺田屋を出た俺は周囲を見回して意味もなくうんうん頷くと、電車に乗って帰った。

飲み過ぎて痛む頭シェイキン、もちろん帰りの車内でも読書は進むはずなく。

 

 

ふう。

と、まあ書いてしまえばそうたいしたことでもなく、というか他人が聞くとさして面白い話でもないのでそもそもそれほど書くことがないのだが、他人に語るべき話ではないがゆえにこれっぽっちの文がなかなか書き出せなかった。

書くべき領域とそうでない領域を見極めるのが難しい、というのかなんなのか。

事細かに書き記そうとするのだが、そんなことをすればするほど俺と鰊君の間とはほど遠くなってしまう感じがして、急にばかばかしくなってしまうのである。

 

 

どうしても思い出せなかったクラシックの楽曲が「くるみ割り人形」だったことを教えてもらった俺は今部屋の中で、ほっと一息、チャイコフスキーを聴いている。

今度は俺が鰊君に、「茶ぁ、行こフスキー」。なんつって。馬鹿なこと考えながら。雨の、暗く寂しいこの神戸の街の、ボロボロのアパートで一人。

*1:いわゆるエロゲー。それにしてもあの頃の業界はレベルが高かった。『まどか☆マギカ』の虚淵玄や、今や一つの巨大なコンテンツになった『Fate』の奈須きのこなど、まさに魑魅魍魎が跳梁跋扈していた

*2:『Paradise Lost』辺りから集めていた注目がここで一気にここでハネた印象はある。そして次の『ぬいぐるまー』でコケた